ブルースバーでの正しい飲み方。
2010年10月5日(火)
渋谷にあったブルースバー「BLUE HEAT」が昨夜、四谷3丁目に移転オープンいたしました。
以前よりスペースは1.5倍、防音完備の地下1階。
ステージも広く、ドラムセットもフル装備。
いやー、めでたいことでございます。
なにしろ渋谷の時代は木造の2階。
音量制限が厳しかったですからね。
さて、いよいよ昨日からオープンということでちょこっと行ってみたのでありますが、実に感慨深いものがありましたので書き留めておこうと思います。
私は最初のお客さんとしてカウンター席中央に座っておりました。
徐々にお客さんが増えて行くのですがいずれもおじさん。
しかもみんなひとりでやってきます。
記念すべきオープンの日であるのにどのお客さんもほとんど会話がありません。
みんなただ黙々と飲むだけ。
追加のオーダーのタイミングは大きめにかかるBGMのブルースの曲が終わり、また次の曲が始まるわずかなタイミングを狙います。
私はなぜかそれがとっても面白くてわざと誰ともしゃべらず、ひたすらマスターの動きを見つつ飲んでおりました。
その時です。
私のふたつ右隣に座ったおじさんが「たこやきなんかできるの?」とマスターに聞きました。
そもそもブルースバーですから渋谷の時代から食事メニューは豊富ではありません。
移転してみたら「ガスレンジは使用してはならぬ」ということだったらしく、カウンター内にはオーブンレンジを導入されている様子。
マスターは「たぶんね」と返事をするとおもむろに電子オーブンレンジの取扱説明書を読み始めるではありませんか。
私は笑ってしまいました。
観念したのかおじさんは「チーズにします」とぽつり。
お客のおじさんたちはみんな一様にお店に気を遣いつつ、ただひたすらに黙って飲む。
そしてかかっているBGMに小声で「いえーい」と反応し、遠くを見つめる。
これぞブルースバーでの正しい飲み方なのかもしれません。
そういえば、ブルースバーのマスターで饒舌な人ってこれまで会ったことがありません。
その意味ではブルースに限らず、バーをやるってすごいことだなと改めて私は思うのであります。
なぜって?
私ならカウンター越しに笑いを取らずにはいられなくなりますもの。